朝日新聞出版(東京)が発行するムック本の編集を委託されたフリーランスの女性が、編集責任者の社員からパワハラを受けたとして、同社と社員に慰謝料や休業損害など約1980万円の支払いを求めた訴訟で、東京地裁(阿部雅彦裁判官)は7日、同社側に慰謝料など約60万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
判決によると、原告の女性は2018年11月~19年1月ごろにムック本の編集に従事。作業の遅れをめぐり、社員から「考え方が非常識」「どうして周りに迷惑をかけて平気なのか」などのメールを送付された。
判決は、編集責任者という優越的な関係に基づいて「業務の適正な範囲を超えて女性を非難し、人格権の侵害だ」と指摘。このメールが外部のライターらにも同時に送られたことから、精神的苦痛を与えたと認定した。
一方、判決は、こうした行為で体調を崩し休業を強いられたとする女性の主張については、診断書から因果関係が裏付けられないとし休業補償の請求は認めなかった。
朝日新聞出版は「主張が一部認められなかったものと認識している。今後、判決内容を慎重に精査し、引き続き真摯(しんし)に対応していく」とコメントした。